事前予想
先日、初めてお越しになられたお客様。
トレーニングの目的は「猫背の改善」「姿勢改善」でした。
ということで、どんなプランで進めようかなーと考えていました。
猫背の改善ということは、つまり「肩が前にでている状態を治したい」ということですよね?
つまり「肩を後ろに引く」ことで改善できるわけですが、そう単純にはいかないのがヒトの身体。
ま、それができたら困ってませんからね(笑)
それと「猫背が良くなったらどうなりたいか?」も大切だと思います。
自分の中でたてていた幾つかのプランはというと・・・
①「肩を引く」ためには「鎖骨が動くかどうか」が大切です。
なので、この鎖骨の動きが良くないのかもしれない。
ということは、胸の筋肉や首の筋肉が固いんだろうなぁ。
②いわゆる「反り腰」の可能性。
なぜ腰を反るかというと、本来呼吸をするために動かなくてはいけない「横隔膜」が姿勢保持のために働いてしまい、背中の筋肉が縮こまっているのかもしれない。
この辺りを予想して、お客様が来られるのを待っていました。
ご対面
そして、来られたお客様。
●「こんにちは」という言葉のトーンが低く、何だか疲労感がタップリ感じられる。
●挨拶に続き、こちらが自己紹介をする間を与えてもらえないほど、ご自身の状態やこれまでの取り組みについて説明をされる(超マジメ)。
●そして明らかに首や肩まわりがガチガチに固まっている。
ということで、もうこの時点で僕の準備していたプランは白紙になりました(笑)
食事と栄養のカウンセリングにスイッチだな・・・と。
カウンセリング
実際にカウンセリングでお話しを伺っていると、本当に尊敬するほどにマジメな方でした。
人生の大先輩でいらっしゃいますので、大変おこがましいのですが「毎日、頑張って生きてこられたんだなぁ」という気持ちになりました。
で、ある程度お話しが進んだところで、ふと気になってお伺いしてみたんです。
「健康診断で肝臓について何か言われたことはりませんか?」
すると、「あ、わかりますか?今日も肝臓のツボに置き鍼をしてきています」という返事。
どこまでマジメなんだこの方は・・・とビックリしました。
そしてよくそこに気づいたなーと感心しました。
それと同時に、僕が肝臓について質問をしたことにもビックリされていました。
カウンセリングの中で「肝臓の炎症」「夜間低血糖」があると予想しました。
それはカウンセリングの中で出てきた言葉からです。
「寝た気がしない」
「寝起きから疲れがとれない」
という言葉からです。
なぜ、それが肝臓の炎症なのか。
食事内容を伺っていると、あまりタンパク質(肉・魚・卵)を摂っていないようでした。つまり、炭水化物(糖質)が多いのかなと。
肝臓でつくられたコレステロール(コレステロールって体内で作られるんですよ)は、タンパク質のトラックに乗って全身に運ばれます。
トラックが足りないと肝臓という倉庫に貯めておくしかありません。
コレステロールは脂質ですから、肝臓に脂肪がたまるということは脂肪肝になるということです。
肝臓には糖を作り出し貯めておく働きがあるので、脂肪肝という炎症がある場合は糖を貯める働きが弱くなっている状態です。
そうなると、血糖値を維持することが難しく低血糖状態に陥りやすくなります。
低血糖状態がなぜ睡眠に影響するのか?
ヒトは体温でもなんでも、常に一定の状態に保とうとします(ホメオスタシスといいます)。
つまり、血糖値が上がれば下げようとしますし、下がれば上げようとします。
糖を貯められないということは、血糖値が低い状態です。
そのまま寝ようとしても、なかなか眠れません。
なぜなら、身体は血糖値を上げようとしているからです。
食べ物から炭水化物を摂らなくても血糖値を上げる方法があるんです。
それは「アドレナリン」をだすことです。
つまり「交感神経優位」「攻撃的」なホルモンを分泌することで血糖値を上げようとします。
そうなると、もちろん睡眠は浅くなりますよね。
リラックスとは逆の方向ですから。
交感神経優位になると、身体には戦闘モードのスイッチが入り、呼吸は浅くなります。
すると、横隔膜は本来の働きである「呼吸のため」ではなく「姿勢保持のため」に働きます。
しかし、ヒトは酸素がなければ生きていけません。
そこで頑張るのが「胸」「背中」「肩」「首」にある筋肉達です。
こうなると肩が前に出て、腰を反った姿勢の完成です。
それをご本人は「猫背」と自覚していたというわけです。
つまり、この方の場合、筋力低下や姿勢不良によって猫背になったのではなくて(それも多少あるけど)脂肪肝の影響で猫背になったのではないかということです。
※ただし、本当に脂肪肝という病気の状態かどうかは医師に判断をしてもらう必要があります。あくまで推測です。
ですから、「肩を引く筋肉を鍛えること」よりも「血糖値を安定させること」の方が優先順位は高いし、その方がトレーニングの効果もでるだろうと判断しました。
その後、横隔膜を呼吸にために働かせるエクササイズをご案内し、この日は終了しました。
●タンパク質を意識した食事をすること
●ビタミンCをたくさん摂ること
●好みの音楽をかけたり、お友達と食事をしたり、自分の好きなことをする時間をとること
●呼吸の際に肋骨が動くように息を吐くこと
まずこれらから取り組むことで、この方の姿勢は改善できると考えています。
そして姿勢が良くなる頃には、睡眠も改善され、日常生活での「疲れ」も改善されていることと思います。
海のにおいや風などから自然を感じることも良いですね。
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池田幸平(イケダコウヘイ)
●米国公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
●野菜ソムリエ
●中高保健体育教員免許
※対面でのレッスンは大阪市内の提携スタジオにて実施いたします。
●note→Life-Explore|note
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